住宅とお金

 

マイホームを購入しようと考えたとき、マンションと一戸建てのどちらを選ぶべきかで迷う人もいるでしょう。

結論から申しあげると、どちらか一方が優れていると断定することは難しいと言えます。なぜなら、家族構成や住宅に求める内容によって、マンションと一戸建てのどちらが適しているかは変わってくるからです。とはいえ、マンションと一戸建てそれぞれのメリット・デメリットを見比べることで、自分や家族の生活にどちらが適しているのか判断することはできます。

ここでは、「費用」、「セキュリティ」、「広さと間取り」、「ご近所付き合い」、「立地条件」のポイントからマンションと一戸建ての特徴を解説します。項目ごとに紹介するメリット・デメリットを見ながら、住宅購入の際の参考にしてみてください。

購入費用の安さはマンション、資産価値の高さは一戸建て

まず、基本的にはマンションのほうが一戸建てよりも安く購入できます。一戸建ての場合は「建物」だけでなく「土地」も一緒に資産として購入する形ですが、マンションの場合は「建物」のみを購入することになります。土地を購入しないため、マンションのほうが一戸建てよりも安く購入できるのです。ただし、購入費用が安いからと言って、マンションのほうが費用面でお得になると断言することはできません。なぜなら、マンションの場合、住宅を購入した後に、様々な費用が発生するからです。

マンションの場合、例えば、管理費や修繕積立金、駐車場代を支払う必要があります。なかには、駐車場代が無料になっているケースもありますが、管理費や修繕積立金については必ず支払うものだと認識しておいてください。管理費とは、マンションの管理人に払う人件費、エレベーターやエントランスの維持費、ごみ処理費、清掃費、セキュリティ費などマンションを維持管理するために必要な費用のことです。修繕積立金とは、マンションの共有部分に何かトラブルが発生したときに備えて集めておくお金のことです。おおよそ月3~6万円の費用が徴収されることになります。10年単位で考えると、単純計算で360~720万円ほど費用がかかるわけです。もちろん、一戸建ての場合も修繕費はかかりますが、マンションのように毎月管理費や修繕積立金を徴収されることはなく、各家庭の自由な判断で補修やリフォームをおこなうことができます。このように、毎月の管理費や修繕積立金がかからない点では、一戸建てに大きなメリットがあると言えます。

また、上記のように一戸建ては建物と土地の両方を購入する形となります。ここで注目したいのが、土地を購入できるという点です。土地は建物とは違い、年数が経過しても劣化する心配がありませんので、資産価値も下がりづらいです。マンションの場合だと、建物部分だけを購入するので、土地という資産を手にすることができません。そして建物部分は、長く住んでいるとそれだけ劣化していき、資産価値が落ちていきます。そのため、マンションは一戸建てと比べて資産価値が下がりやすいのです。資産価値の点で考えると、一戸建てのほうにメリットがあると言えるでしょう。

以上のことから、住宅の購入費用が抑えられる点ではマンションが優れており、購入費用は高くとも資産価値が残せる点では一戸建てのほうが優位と言えます。また、セキュリティも含めて建物の管理を任せられるという点ではマンションが優れており、管理費や修繕積立金がかからず、自由に補修やリフォームができる点では一戸建てのほうに優位性があります。

セキュリティ万全のマンション、セキュリティの準備が必要な一戸建て

セキュリティについては、マンションのほうが優れています。最近ではどこのマンションでも、自宅の鍵はもちろん、エントランスやエレベーターホールのオートロックのように、セキュリティ設備を何重にも重ねて用意する多重セキュリティが基本です。毎月の管理費の中に、こうしたセキュリティ対策にかかる費用も含まれています。どのようなセキュリティ設備を用意しているかは、マンションによって異なりますが、オートロック以外にも防犯カメラや有人監視体制をとるなど、マンションでは様々なセキュリティ対策が講じられています。昼は管理員が、夜は警備員が常駐し、不審者の侵入を防げるという点はマンションならではのメリットと言えるでしょう。もちろん、一戸建てでもホームセキュリティーに加入したり、防犯カメラを設置したりして、セキュリティを強化することは可能です。しかし、それらのセキュリティにかかる費用はすべて自分で負担しなければならず、それは大きなコストになります。

また、警視庁の「平成29年中の侵入盗難傾向」を見ると、「侵入盗難の場所別発生状況」において、一戸建て住宅で23.3%、中高層住宅(4階建て以上)で11.2%の確率で住宅への侵入や盗難が発生していることが分かっています。つまり、一戸建てのほうが被害を受ける確率が高くなっているのです。こうした点から考えても、セキュリティについては一戸建てよりもマンションのほうが優れていると言えます。

自由にリフォームできる一戸建て、共有施設が利用できるマンション

広さに関して言えば、一戸建てのほうが優れています。一戸建ての場合は、2階建てや3階建てなど複数階にすることができるので、ワンフロアのマンションよりも床面積において有利です。また一戸建てのほうがリフォームの自由度が高く、お金をかければ、間取りの変更はもちろん、余っている土地に増築することも可能です。楽器を演奏するための部屋を設けたり、ペット用の部屋を設けたりと、自由にリフォームすることができます。一方、マンションの場合、間取りの変更はできるものの、増築は認められません。加えて、間取りの変更に関しても、管理規約など様々な制約を受けることになります。そのため結果的に、一戸建てのほうが利用できるスペースが広くなるのです。

一戸建てであれば、庭やガレージ、物件によっては屋上を利用することもできます。普段生活で使うスペース以外にも、上記のような場所を利用できることは大きなメリットと言えます。とはいえ、マンションも共有施設を利用することができます。来客をむかえるためのゲストルームや、子供が遊べるキッズルームなど、マンションごとに多様な共有施設が用意されています。これらの施設をうまく使えば、住居の広さを補うこともできるでしょう。

間取りにおいても、それぞれに特徴があります。まず、マンションの間取りは3LDKが多く、ワンフロアなので家族のいる気配を感じることができます。階段の上り下りもないため、家事動線もスムーズです。一方、一戸建ては4LDKが中心で、複数階にすることもできるため、リビングやキッチンを1階に配置して、2階は家族それぞれの個室にするなど、様々な組み合わせが考えられます。家族との共有スペースと個室を階で分ければ、家族間のプライバシーを確保することができます。ただし、階段の上り下りが発生するので、家事動線の点ではマンションより劣るかもしれません。

ご近所付き合いの多いマンション、ご近所トラブルの少ない一戸建て

一般的にはマンションのほうが、ご近所と交流する回数は多いです。同じマンションに住んでいるということもあり、様々な行事や会合に出る必要があります。例えば、管理組合への参加や共有施設の掃除、夏祭りといった各種のイベントなどに参加して、近所の方と交流を深めることができます。積極的に交流を持つことで、何かあったときに居住者同士で助け合うこともできます。対して、一戸建ての場合は、特に都市部ではあまりこうしたつながりを持つことはありません。

また、ご近所トラブルはマンションのほうが起きやすい傾向にあります。特に多いトラブルが「音」にまつわるトラブル、いわゆる騒音問題です。隣の部屋から大音量の音楽が聞こえてきたり、上の階で走り回る子供の足音が響いてきたり、壁や床が接しているマンションだからこそ、こういった音は気になることがあります。トラブルを回避するためには、防音性の高いマンションを選ぶことが重要です。特に子育て中の方は、子供が走り回ることを想定して、音が響きにくいマンションを探すとよいでしょう。そして、近年は民泊によるトラブルも見られます。入居を考えているマンションで民泊を認めているかどうか、事前に調べておきましょう。

一戸建てでは、こうした音にまつわるご近所トラブルはあまり発生しません。というのも、壁や床が近隣と接しているわけではないため、音が響くことがあまりないからです。それもあって子育て中で、一戸建てを選ぶ方は多いです。一戸建てであれば、走り回っても下の階を気にする必要はありません。

立地条件のよいマンション、駅から離れたところに建つ一戸建て

商業施設や教育施設が近くにあるかないかといった立地条件は、子供の教育や快適な生活のために注目すべき重要なポイントです。マンションのほうが、この立地条件はよい場合が多いです。多くのマンションは、駅やスーパー、病院や飲食店などが近くにあり、生活に便利な立地となっています。マンションは1つの土地に対して、複数の世帯が居住する形式のため、立地がよくても1世帯あたりの負担が少なくなるのです。一方、一戸建てはマンションと比べて立地条件があまりよくない傾向にあります。立地条件がよい場合は、それだけ購入費用も高くなってしまいます。そのため、一戸建ての場合は駅から離れた場所や郊外に建てることが多いです。

 

ここでご紹介した「費用」、「セキュリティ」、「広さと間取り」、「ご近所付き合い」、「立地条件」のうち、住宅購入に際してあなたはどの点を重視しているでしょうか?住宅購入の際に譲れないポイントについては、徹底して調べるようにしましょう。「家族の安全のためにセキュリティの高いマンションにしよう」、「将来の資産価値を保つために一戸建てにしよう」など、マンション・一戸建てそれぞれのメリット・デメリットを見ながら、マイホームに求めることを明確にしていってください。ここでご紹介した内容は、あくまでも一般的なメリット・デメリットですから、この記事で気になった部分について、ネット検索や専門業者へのお問い合わせなどを通じて情報収集してみてください。そうすれば、自分や家族にとってどんな住宅がピッタリなのか自ずと見えてくるでしょう。
 

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