不動産を売却するときには税金がかかります。あらかじめ、どのくらい税金がかかるのかを知りたいとは思って調べてみても、専門用語が多く出てきたり、15.315%といったような細かい数字が出てきたりして挫折したという方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、ここでは不動産売却にかかる税金について分かりやすく紹介していきます。

不動産売却して利益があった部分に税金がかかる

不動産を売却したときに利益があるかどうかが大切なポイントです。「不動産の価格+売却活動にかかった費用」よりも「売れた価格」が高い場合に税金がかかるのです。つまり、お金儲けした分には税金がかかるということです。
例えば、4,000万円の物件が5,000万円で売れたとします。売却活動にかかった費用が200万円だとすると、「5,000万円-(4,000万円+200万円)」となり、「800万円」が利益となります。この800万円を「譲渡所得」と言い、この譲渡所得に税金がかかるということなのです。

「譲渡所得」=「売れた価格」-「不動産の価格+売却活動にかかった費用」

これがおおまかな計算式となります。

建物の価格は減価償却を考慮する

先ほど、4,000万円の物件という例を出しましたが、これは4,000万円で買ったという意味ではありません。建物には法律で決められた耐用年数があるので、築年数が長くなるにつれて価値が下がっていきます。価値が下がっていくことを減価償却(げんかしょうきゃく)と言い、この減価償却を考慮して計算した値段が4,000万円ということ。つまり、売却したときの価値が4,000万円ということです。

また、減価償却は建物にかかるものであり、土地には減価償却はありません。どれだけ長い間、土地を所有していても価格には影響がないということです。土地の場合は、売却をするときの地価と、土地の広さによって値段が決まるのです。所有する地価がどのくらいか知りたい場合には、国土交通省「地価公示・都道府県地価調査」を見れば、おおよその地価を知ることができます。

売却活動にかかった費用には仲介手数料も入る

お金儲けした部分に税金がかかるので、不動産の売却にかかる費用については引くことができます。その費用というのは、例えば、不動産に仲介を依頼した場合に支払う手数料が挙げられます。その他、不動産の契約書に必要になる「印紙税」を負担した場合にはそれも費用とすることができるのです。

税金はどのくらいかかるか

建物を売る場合には、減価償却した現在の価値が基準となります。この価値よりも高く売れることはよくあるでしょう。そうすると税金がかかることから、どのくらい税金がかかるかについて知っておく必要があります。以下に詳しく見ていきましょう。

税金を考えるうえで大きなポイントとなるのが、所有期間です。これによって税率が大きく変わるのです。まずは、売却しようとしている不動産を5年以上所有しているかどうかを調べてみましょう。不動産を売却した年の1月1日に、5年を超えている場合には「長期譲渡所得」となり、超えていない場合には「短期譲渡所得」となります。例えば、平成24年12月1日から住んでいて、平成30年5月15日に売却した場合を考えてみましょう。売却した年の1月1日(平成30年1月1日)は、住み始めてから5年と1ヶ月が経過しているので、長期譲渡所得となります。「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」について判断ができるようになったところで、それぞれの税率を見ていきましょう。

  • 長期譲渡所得(所有期間が5年を超えている場合)
    長期譲渡所得の場合の税率は、所得税が約15%で、住民税が5%です。合計で約20%が税金として徴収されることになります。冒頭で例として挙げた物件で考えると、800万円(利益分)の約20%、つまり、約160万円が税金となります。
  • 短期譲渡所得(所有期間が5年以下の場合)
    短期譲渡所得の場合は、所得税約31%で、住民税が9%です。合計で約40%が税金となります。先ほどと同様に冒頭の例に当てはめて考えると、800万円(利益分)の約40%、つまり、約320万円が税金として徴収されます。

このように短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得の税率のおよそ2倍となっています。そのため、不動産を所有してから5年経過しているかどうかが大切なポイントとなるのです。

税額が軽減・免除される特例がある

「そんなに高い税金を払わなければならないの?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。安心してください。税額が軽減されたり、免除されたりする特例が用意されているのです。いくつもある特例のなかから、よく利用されているマイホーム(居住用財産)を売ったときの特例を3つ見ていきましょう。

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除の特例

マイホームを売ったときは所有期間が長くても短くても、「譲渡所得」から最高3,000万円まで控除ができます。そのため、不動産を売って3,000万円お金を儲けても、税金がかからないということです。ただ、後に紹介する「特定のマイホームを買い換えたときの特例」などと併用することはできないので、マイホームの買い換えを考えている方は注意してください。

参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームの所有期間が10年を超えている場合には、譲渡所得6,000万円までの税率が軽減されます。

  • 譲渡所得6,000万円までの税率
    税率が軽減され、所得税が約10%で住民税が4%の、合計約14%となります。
  • 6,000万円を超えた分の税率
    「長期譲渡所得」と同様に所得税が約15%で住民税が5%の、合計約20%の税率となります。

そのため、建物を売却する際には、所有期間が10年を超えているかどうかについても大切なポイントとなるのです。

参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

特定のマイホームを買い換えたときの特例

この特例は、マイホームを売ったときの譲渡所得より、買い換えたマイホームの価格のほうが高い場合、譲渡所得にかかる課税は税負担がなくなるというものです。ただ、非課税となるわけではなく、将来譲渡するときまで延長されるということに注意が必要です。
この特例を受けるためには、居住期間と所有期間が10年以上で、住まなくなってから3年目の12月31日までに売るといったような条件を満たす必要があります。

参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」


以上が、不動産の売却時にかかる税金です。細かく説明しましたが、大切なのは以下の3つです。この3点だけ覚えておきましょう。

  • 「譲渡所得」に税金がかかること
  • 「譲渡所得」を出す公式
    「譲渡所得」=「売れた価格」-「不動産の価格+売却活動にかかった費用」
  • 税金を軽減してもらったり免除してもらったりする特例があること

マイホームの売却、買い換えを考えている方は、マイホームを売却したときにいくら手元に残るか気になるものです。とは言っても、売却の値段や購入の値段は正確には分かりませんから、計算する場合には、「おおまかに」計算してみましょう。「どう計算すればよいか分からない」、「どの特例を使えるのか分からない」という場合には、弊社までお気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが丁寧に対応いたします。

 

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